看板屋は技術職です。

デザイナーも含めて「職人気質」は忘れてはいけません。

初めの項で「営業力が大事」とのお話をしましたが、
職人気質あっての営業力です!
職人気質って漠然とした古い言葉のような気がしますが、辞書で引かなくても意味はわかると思います。自分の仕事に誇りと責任を持つプロですね。
前章までで、いろんな看板屋さんの業態を説明しましたが、自分の目指す業態がどんなものかによって求められる技術が異なります。

勝手に看板屋さんの仕事を3つに分類したいと思います。

1、看板をデザインする仕事
2、看板を作る仕事
3、看板を取り付ける仕事

この3つに分類して、それぞれ説明したいと思います。

1は飛ばして2から

ザ・モノ作り!

当然看板ですから作るものもいろいろです。
ネオン曲げ、溶接、板金、立体造形など、特に専門技術を要する職業については、残念ながら全てを説明することはできません。
これらの技術は、該当する会社に入って努力と経験で覚えるしか道はありません。

ただ、どの職種についても言えるのは「必要なのは応用力」です。
よほど看板についての知識のあるデザイナーじゃないと、イメージだけでとんでもないプランを提出してきたりします。
「そりゃムリだろ」と突っ込みたくなるようなデザイン案もよくお目にかかりますが、「出来ない」と突っぱねるようではモノ作りのプロではありません。
一回仕事を突っぱねてしまって、それを他社がやってしまったら、もう未来永劫発注はきませんよ。
それをどうやって作るか、どうやってデザイナーのプランに近づけることができるか、さらに取り付ける業者のことまで考えて製作できるかです。
素材の選定や加工の技術、常に新しい素材や商品の情報にアンテナも張っていなければいけません。
看板業界は常にダイナミックに変動しています。新商品情報等をいち早くキャッチして、逆にデザイナーに提案、逆営業することが大切です。
いくら腕が良くても、待ってるだけでは仕事の量は限られますし、安定した発注にもつながりません。
看板を作る仕事は「メーカー」なので、優れた技術があるならば、それは一番の商品です。これを売らないテはないでしょう

1は最後に取っておきます。続いて3

凄腕職人は頼れる男!

これも知識と経験しかないのですが、それでは話にならないので少しだけ。
私の知っている中での最高の職人の言葉をいくつか
「職人は道具もっててナンボじゃ」
いくら経験があっても、やはりTPOにあわせた各種工具を揃えてないと仕事にならないとの事です。 職人はウデで仕事をするもんだと思っていた当時の私にとっては意外な言葉でした。現場の内容、状況を事細かにリサーチして、少しでも使う可能性のある道具は面倒でも持っていく。
実際の現場で「持ってくれば良かった」と思っちゃ失格だとおっしゃってました。
「段取り8分じゃない、段取り9.9分だ」
同上の職人さんの言葉です。この人は自分で製作もするのですが、他社で製作した物は、 事前に製品をチェックして問題点の有無を把握しています。もちろん取り付け場所のチェックも怠りません。 段取りが完璧なら現場作業はすぐ終わるとの事です。
「プロなら投げるな」
私が駆け出しのころ、段取りが悪く、色々なトラブルがありました。「聞いていた寸法と違って看板が収まらない」「作業高さが足りず届かない」「相番業者の仕事が遅れて取付にかかれない」 などなど、思い出してもキリがありません。それで仕事を投げ出して帰ってしまうのは簡単だが、プロだったら何とかする、と。
実際いろんな方法でトラブルを切り抜け、必ず取付を完了させました。
「職人は看板屋の看板だ」
これは非常に重要な言葉だと思います。どんなに営業の対応が良くても、どんなに優れたデザインを出しても、 実際にお客様のところで取付作業をする職人がダメでは、会社全体のイメージが悪くなってしまいます。
特に応援で他社の仕事を行うときは、服装、態度、動作、言葉づかい、全てにおいていつも以上に気を使うとおっしゃっていました。
「口は悪いが腕はいい」と言う職人は、工場内では通用しても、実際にお客様に接する現場ではイメージダウンです。

もう一つのプロ、「貼り屋」

現在の看板はカッティングシート、インクジェット出力共に糊付きのシールを広い面積に貼ることがほとんどです。
大きな面積の物を気泡やシワ等をいれず、さらに写真などのビジュアルは分割出力になりますが、合わせがずれないように。
10m×10m位の物は2人で1日かからずに貼ってしまいます。
また、自動車のラッピングなど3次曲面へのシート貼りも自由自在にこなす「静かなる職人」ですね
道具代が安いのも魅力ですし、仕事自体も増える一方です。

次章の内容と重複してしまいましたね

看板をデザインする人に求められる技術

については次章に回します。
2、3の仕事については、この章を読んでいていただいたことで、ある程度「仕事を受注するにはどうすればいいか」が分かっていただけたかと思います。